日常のほんのちょっとしたことに、ツッコミを入れていくシリーズです、重箱の隅をつつくのが大好きなんです。
それでは行ってみましょう‼︎
本日のお題
本日私が気になってしまったのは
「ひっさげて」です。
この言葉も日常では全く使わない言葉ではないでしょうか?
ラジオなどを聞いているとアーティストの方が
「アルバムをひっさげて全国ツアーに行きます」
なんて言うのをよく聞きますよね。
っていうかこの使われ方以外、聞いたことがない‼︎
ひっさげるという言葉は新曲やアルバムのためにあるのか、なんて思ってしまうぐらいです。
ラジオなんかで何となく当たり前のように聞いていた「ひっさげる」…
そもそも「ひっさげる」ってなんやねんと思ってしまうわけです。
「ひっぱたく」とか「よっこらしょ」に近い印象を感じさせますが、本当はどんな意味なのでしょうか、じっくり探っていきます。
「ひっさげる」とは
辞書で調べると「引っ提げる」とはこんな意味です。
1. 大きなもの、目立つものなどを手にさげて持つ。「大荷物を―・げて出発する」
goo辞書より
2. 引き連れる。伴う。「取り巻き連を―・げて現れる」
3. 行動に出るに当たって、有力なよりどころとしてかかげる。「新曲を―・げて舞台に立つ」「年金問題を―・げて選挙に打って出る」
4. 無理を押して動かす。「老体を―・げて任を果たす」
この辞書によると3の「行動に出るに当たって、有力なよりどころとしてかかげる」が、アルバムをひっさげてになります。
とはいえ意味を調べてもなんだかしっくりこないですよね、「たずさえて」とか「引き連れて」など別の言葉でもいいような気がするし。なぜ「ひっさげて」が使われ続けているのかということがわからないんですよね。
ここで僕の仮説なんですが…
昔の音楽ライブといえば「レコードを会場で売るために大荷物を持って移動していたのではないでしょうか?」
そうすると辞書の1「大きなもの、目立つものなどを手にさげて持つ」という意味と辞書の3「行動に出るに当たって、有力なよりどころとしてかかげる」の二重の意味で「ひっさげて」がしっくりくるんです。
なんとなくわかっていただけますでしょうか?
これだと「たずさえて」とか「引き連れて」ではちょっと違うニュアンスになってしまいますよね。
現在は音楽配信時代ですのでレコードを売りさばくようなことはないのでしょうが、もはや業界の慣習として定着してしまってメディア側としても変えることができなくなっているのだと思います。
生活の中の「ひっさげて」の使用例
しかしその他の意味でひっさげてなんて使うでしょうか?
先ほどの辞書にあった例文を生活の中に落とし込んでみましょう。
家庭で
妻「旅行の準備できたわよ」
夫「よーし荷物をひっさげて出発だー」
また会社で
上司「お、社長が秘書たちをひっさげて現れたぞ」
孫「おじいちゃん無理しないでね」
爺「いやいや老体をひっさげてでもやり遂げるぞ」
辞書の使用例をそのまま使っても
「ちょっと何言ってるか分かんないですね〜」(サンドウィッチマン風)になってしまいますw
まとめ
千利休の辞世の句
「人生七十 力囲希咄 吾這寳剣 祖佛共殺 堤る我得具足の一太刀 今此時ぞ天に抛」
この中に「引っ堤る(ひっさげる)我得具足の一太刀 今此時ぞ天に抛つ」という一説があります。
意味の解説は省きますが、それほど古くから「ひっさげる」が使われていたと言えますね。
昔は普通に使われていた言葉だったのが今ではほとんど使われなくなり、アーティストがツアーに出るときにだけ慣例として使われ続けるようになったということでしょうか。
だからいつもアルバムをひっさげて言われると、何となくモヤモヤした気分になるのでしょう、「ひっさげて」とは何ぞや…と
なぜアルバムだけがひっさげられるのかと…
昔から伝わる古い日本語と、今を象徴する音楽のツアーという全く逆の時代ギャップが何とも面白いですね。
この際、風化させるにはもったいないので「ひっさげて」をぜひアルバム以外にもどんどん活用していきたいですねw
それでは今回もご覧いただき
ありがとうございました〜